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2021年8月17日 火曜日

8月17日:スパルタ理想主義者

8月17日(火):スパルタ理想主義者

 今日は調子がいいのでもう一本書いておこう。
 DAIGO(以下ダイゴ)という人がいる。メンタリストだそうだ。メンタリストって何をする人なのか僕は知らない。正直に言えば、ダイゴなる人のことも知らない。そういう人がいると、名前くらいは知っている程度だ。
 この人の発言が物議をかもしているらしい。ホームレスを助けるために税金を払っているのではない、それなら猫を助ける方がましだ、とかそういう発言らしい。要するに、社会的弱者を助けるくらいなら野良猫を助ける方がいいということであり、弱者は野良猫よりも価値が無いと言っているに等しいわけだ。よくもまあ、そんなことが言えたものだ。
 社会は必ずしも万人に公平であるとも言えないし、時代の流れや経済の流れで社会も変動する。そうした中で社会的弱者はどうしても生まれてしまうものである。本人が望まなくとも弱者の立場に追いやられてしまうこともあるし、本人がいくら望んでもなかなかその地位から抜け出せないということもある。僕も含めて、どの人も社会的弱者になる可能性があるものである。そこを見失ってはいけない。
 もし、ダイゴと言う人が、自分は弱者のために税金を払うが、ネコを救済する活動に精を出すと言うのであれば、それはそれでけっこうである。野良猫救済の団体なり基金なりを設立してもよいし、そういう団体に参加したり寄付したりすればよい。それは個人の価値観ということになるだろう。
 僕はその人の発言を全部読んだわけではないので、解釈は控えようと思う。彼の個人的な感情、つまり妬みとかもあるかもしれないし、おそらくサディスティックな傾向(人の心を操作しようという輩には必ずあると僕は思っている)の表われであるように思う。だから、その発言は個人的な意見とかではなく、もっと「悪性」の何かが多分に含まれているのであろうと思う。

 それはさておき、税金を社会的弱者のために使うのは当たり前のことである。むしろ、それは税金の一つの柱である。先進国ならどこでもそれを認めているだろう。税金の当たり前の部分、あるいは先進国にとって当たり前の部分に文句を言い出すと、日本という国の根幹に関わってくることになる。
 昔、ギリシャにスパルタという国があった。「スパルタ教育」のスパルタだ。この国では、働けなくなった人や戦えなくなった人は処刑されていたそうである。処刑か、もしくは追放である。社会的弱者を抱えない国であったのだ。ダイゴをはじめ、そういう見解を有する人もけっこうおられるように僕は思うのだが、彼らに訊いてみたいところでもある。彼らにとってはスパルタが理想的な国家だということになるのだろうかと。
 しかし、スパルタを弁護するつもりでもないのだけれど、当時、スパルタは敵国に取り囲まれているという状況だったそうだ。そのため、いつどこから敵が攻めてきて国を占領するか分からないわけだ。そういう事情があるから弱者を切り捨てなければならなかったという一面があるのだ。日本をそういう国に、世界をそういう世界にすることが彼ら(ダイゴその他)にとっては理想なのだろうか。
 僕のクライアントにも生活保護を受けているような人たちがいる。生活保護を受けるのは彼らの権利であるし、彼らがそのようになるのも彼らだけの責任とは言えない部分がある。確かに、彼らが受け取る生活保護は納税者からいただいたものであるという感覚が乏しい人も中にはおられる。僕の個人的意見では、彼らのその態度が彼らの人生を損なわせているのであるが、今日はそのことには触れないでおこう。そういう人のそういう態度を目にすると、なんでこの人のために税金を払わなければならないのだという気持ちに襲われる納税者もおられることだろうと思う。僕はその人たちのことも非難するつもりはない。生活保護を受けているのだから、せめて人に感謝して生きたらどうかねという気持ちが僕の中で生まれることもある。
 彼らを弱者とすれば、強者はどうするのがいいだろうか。もっとも理想的な強者の在り方とはどういうものだろうか。そんな奴に生活保護を渡すなと非難することが理想的な強者の姿であるだろうか。僕が思うに、そうではなく、弱者が多くの人から世話になって生きていること、そのことに感謝の念が抱けるようになるまで、その弱者と付き合うことではないか。
 どの人も自分一人だけで生きているわけではない。強者であろうと弱者であろうと、それは同じである。人の存在のありがたさが分からないのは、その人が社会的強者であろうと弱者であろうと、人間として堕落してしまっているのではないだろうか。僕はそんなふうに思う。
 ダイゴその他、スパルタを理想国として描いていると思われるような人は、人との連帯とか紐帯の感覚を欠いており、人間としては堕落していると僕は思うのだけれど、これは言い過ぎだろうか。

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)



投稿者 高槻カウンセリングセンター

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