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2021年3月26日 金曜日

3月26日:底辺国ニッポン

3月26日(金):底辺国ニッポン

 昨日から聖火リレーがスタートして、今日はそれに関する報道をいくつか見聞した。案の定、ひどいものであるようだ。
 沿道では密ができたと言うが、それはそうなるだろうという気もする。すぐ近くを聖火ランナーが走るとなれば、やっぱりちょっと見てみたいという気持ちにもなるだろう。そうして密が形成される。その情景が世界の人からどのように見られてしまうだろうか、などと考える人はいないんだろう。外国の人から見れば、日本人はマトモか、と疑われそうだ。今こうしている時にもロックダウンしている国だってあるのに。

 政府は聖火ランナーをライブ配信する方針を立てた。家でタブレットなんかで聖火ランナーを見て、応援してほしいということなのだろう。そして現地に行かないでくれということなのだ。それはいいとしよう。
 しかし、この配信が何かと不評であるようだ。見えにくいとか、映像がぼやけているとか、いろいろあったようだ。事前のテストとかそういうこともしていなかったのだろうか。ぶっつけ本番でやったという感じがしないでもない。

 その聖火ランナーの一人に南海キャンディーズのしずちゃんがいた。彼女はインタビューで辞退は考えなかったのかと問われて、スケジュールがかぶらなかったのでとか答えていた。しずちゃんは正直だ。しかも、その正直さには狙ったところがないのでいい。
 辞退者も続出しているけれど、辞退しなかった人の中には特に辞退する理由がないから走ったという人もけっこういるのかもしれない。どうしても聖火リレーを走りたいという人がどれほどいるのだろうか。

 そうそう、渡辺直美さんの件も今日その内容を知った。渡辺直美さんを「オリンピッグ」という豚キャラで登場させるというもので、小学校低学年の学芸会並みのアイデアだ。太っているからブタって、その発想はどうしようもない。
 太っている人も痩せている人も、背の高い人も低い人も、大きい人も小さい人も、色の白い人も黒い人も黄色い人も、みんな同じ人間なんだといったメッセージを打ち出せないものかね。太っている人だけブタって、幼稚な発想だ。

 結局、誰も真剣ではないんだ。オリンピックを真剣にやろうと考えている人は誰もいないのだ。それなら中止していいのである。
 自分が沿道に出る、それで密ができたら外国人の招待選手が日本に行きたくないと思うようになったらどうしようなどと考える人はいない。
 聖火ランナーを家で楽しんでもらうために、最高の設備で、最上の映像で届けようなんて意気込みのある人はいない。
 聖火ランナーの個々人が悪いわけではないんだけれど、高い志を持って走る人がどれほどいるだろうか。
 開会式と閉会式では、エンターテイメント要素が盛り込まれるのはいいのであるが、そこで高い文化性と高尚なメッセージを打ち出そうと思う人がどれほどいるだろうか。

 完全な形で開催するという抱負も、人類がコロナ打ち勝った証といったスローガンも、コトバだけの話で、それを口にする人たちもやはり真剣ではないのだ。選手たちは競技で真剣勝負をするのだけれど、周囲の人間にはそれだけの気持ちが皆無である。
 今回のオリンピックが露呈したことは、日本が底辺国であるということではないだろうか。文化性ゼロ、象徴的理解ゼロ、熱意ゼロ、一体感ゼロ、計画性ゼロ、ジェンダー意識ゼロ、人権意識ゼロ、あらゆる面で0点を見る思いである。やはりオリンピックは中止しておくべきだったのだ。

 そうそう、このことを言ってなかったな。このオリンピックは「人類がコロナに打ち勝った証とする」という首相の表明である。これの違和感がお分かりになるだろうか。
 何かが証明されるというのは事後のことである。事前に証明されるものではないものだと僕は思う。もし、仮に、感染対策をバッチリやってオリンピックを開催し、その後、コロナが収束に向かっていったとすれば、そのオリンピックはコロナに打ち勝ったことの一つの契機となる。従って、その証明はあとから省みてなされるものである。
 ある行為によって何かが証明されるということはある。自分の価値を証明するために成功を目指すという人は、それはそれでよろしいのであるが、彼が目指すのは、その証明ではなく、成功の方である。そして、証明の方は彼が成功してから、もっと正確に言えば彼が成功に達してから数年も経て彼がどのような人間になっているかで証明されるものである。僕はそのように思う。証明はすべて事後的になされるものである。
 事後的になされるものを事前にやろうとするから話がおかしく聞こえてしまうのだ。要するに、これは時間展望が混乱しているのだ。クライアントでそういうことを言う人がいれば、僕だったらそのように考える。

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)



投稿者 高槻カウンセリングセンター

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