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2016年12月21日 水曜日

12月21日:レオーノフ『泥棒』途中経過パート2

12月21日(水):レオーノフ『泥棒』途中経過パート2

 レオーノフの『泥棒』を読み進めている。一応、今日、第2部を読み終えた。第1部のことをここで書いたので、やはり第2部のことも書いておこう。もし、今後、同書を再読する時には参考にしたいので、書いて残しておこう。

 この小説、いささか時間観念が把握しづらい。第1部と第2部の間にどれくらい時間が空いたのか、はっきりしない。
 第1部最後で金庫破りをしたミーチャが、第2部冒頭では刑務所に入っていることになっている。ミーチャが登場するのは第2部の後半になってからである。
 主人公不在のまま物語が進む。その分、周囲の人間関係が動いていく。

 まず、第1部で導入役のような存在だったニコールカであるが、彼は商売を始めている。たまたま見たサーカスでターニャを気に入り、二人は婚約する。
 ミーチャの姉のターニャはニコールカと婚約する。サーカスを止めようかと考え始める。一方、ターニャの芸の師匠でもあるプーグリ老人はそれを快く思っていない。それはミーチャも同様である。
ビヤホールの歌姫ジーナは、相変わらずミーチャに思いを寄せ続けている。ジーナの弟がマトヴェイだ。一緒に暮らしているようである。さらに、ジーナの前夫との間にグラヴジャという娘がいる。
元地主で今は乞食同然になっているマニューキンは、子供に充てて回想録を執筆中である。ジーナの名の日のお祝いの席上で、この回想録は管理人のチキリョフによって朗読されてしまう。
チキリョフは、そうやって公衆の面前でマニューキンをこき下ろすことで、マニューキンを葬り去ろうと考えている。
そのチキリョフであるが、彼はジーナを恋する。ジーナはミーチャを愛しており、チキリョフのことはむしろ嫌悪している。チキリョフはグラヴジャをかわいがり、手なずけることで、ジーナに接近しようとする。
悪党のアゲイがどうなったのか不明だ。死んだのだろうか。
アゲイに犯されて妻となったマーシャは今では女優になっている。かつてミーチャの幼馴染であり、恋人であった、そして「吹雪のマーニカ」の異名を持つマーシャは、ミーチャと決別する。
かつての泥棒仲間だった「巻き毛のドーニカ」は、マーシャのところで下働きをしている。マーシャのために詩を書き、雑用をし、ミーチャへの連絡係となる。
新たな登場人物としては、ニコールカの友人のゾーチェイがいる。ニコールカはターニャとのデートの時に、ゾーチェイから馬を借りる。その他、チキリョフのアパートの住人で無職者のブンジューコフ夫妻が登場するが、この人たちはパーティーの場面だけの登場かもしれない。
最後に、作者の分身である作家のフィルソフであるが、ようやくフィルソフの役割があっきりしてきた。フィルソフは常に作品と読者の仲介役という感じが濃くなってくる。ミーチャの分かりにくい性格がフィルソフを介して読者に説明されるのである。この部分は後で記そう。

 さて、刑務所から出たミーチャは、姉が婚約したことを知る。また、父に手紙を書こうと悩む。手紙の返事は来るのだけど、それは父からではなく、腹違いの弟レオンチイの手になるものだった。
 ミーチャは、ある時、職人のプチコフに会いに行き、話し合う。しかし、この部分は現実ではなくフィルソフの創作であることになっている。ここでミーチャは彼の心にのしかかっている感情を吐露する。
 プチコフは「お前は何を求めているのだ」とミーチャに問う。ミーチャは、それが分からないと言う。「人生に何一つ心を惹きつけるものがないんだ。・・・・そのほか、人生の経験からいろんな楽しみにぶつかったけれど、どうにも心の満足感が得られないんだ。まるで霧のなかで手探りしているみたいで、自分の姿が見えないんだよ」
 さらに続く会話において、ミーチャはこう言う。「実際のところ、おれは何なんだろう。生き物なんだろうか、それとも違うんだろうか・・・だから今のおれは、正確な結論を出すまでは、一歩も踏み出せないんだよ」
 ミーチャにはもはや生きがいとなるものがないのだ。彼自身が空虚で、もはや何者でもなくなっているのだ。そんな自分をなんとか駆り立てようとするも、どこにも行先がないのだ。この瞬間、ミーチャのことがすごくよく理解できたような感覚を僕は覚えた。

 ミーチャは、かつての部下であり、泥棒仲間であり、今は堅気に暮らしているサーニカを訪れる。サーニカは、結局、ミーチャについていくことを決意する。
 ミーチャは、サーニカ、ドーニカらの泥棒仲間を集め、貴金属店に泥棒に入る。しかし、この犯罪は成功せず、怪我を負いながらもミーチャは逃走する。そして、ジーナとターニャに別れを告げ、独りどこかに走り去っていくところで第2部は終了する。

 大体、こうした出来事が第2部で生じる。もちろん、それ以外の細々した出来事もあるが、省略している。今後、この作品を読んでみようと思われる方がいらっしゃるかもしれないからである。文学作品の内容は、あまり事細かに書かない方がいいだろうと思うのである。

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)



投稿者 高槻カウンセリングセンター

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