<Q16>どこに何が書いてあるか分からない

<Q016>「どこに何が書いてあるか分からない」

<状況と背景>
 このサイトのことです。質問と言うより、ある種の苦情であります。
 クライアントはあまりはっきりとこういうことは言いません。これを言うのは、大抵、IT企業の営業マンです。私のこのサイトは何処に何が書いてあるのかわからないと、だから良くないとか、損をしているということを彼らはいちいち私に伝えてくれるのです。
 この「どこに何が書いてあるかわからない」に対する私の返答は次の如くです。

<A>
 そんなこと、言われんでも分かってるわ!
 これが私の返答です。
 そもそも書いている本人でさえ、あれはどこに書いたのだっけなと分からなくなる始末なのです。作っている本人がどこに何を書いたか分かっていない有様なので、いちいち指摘されなくても十分に分かっておることなのです。

<補足と説明>
 もし、閲覧者が調べたいと思っていることをピンポイントで掲載していたら、この人は目的を達するやいなや、さっさとこのサイトから退散してしまうことでしょう。それでは良くないと私は考えているのです。
 利用者が疑問に思っていることに関して、それがどこかに書いてあるかもしれないと思わせることが大事なのであって、そうすると利用者はこのサイト上のいろんなページに入っていかれるのです。
 そして、いろんなページに入ってもらって、自分の関心事とは無関係な文章に目を向かわせることが肝要なのです。案外、調べようと思っていたことよりも、掘り出し物があったりするのではないかと私は考えているのです。
 そのためかどうか、このサイトは、閲覧者数はそれほど多くないのですが、一人一人の滞在時間がけっこう長かったりするのです。長く滞在してもらって、いろんな文章に触れてもらう。そこで閲覧者さんに思わぬ拾い物や発見があれば、所期の目的は果たしたことになるのです。
 より贅沢を言えば、この人たちが、さらに何か有益な情報が得られないかと、より深く入っていかれたりすることを私は期待しているのです。
 そういう魂胆もあって、こういうサイトになったのです。どこに何が書いてあるか分からないけど、どこかにそれについて書いてあるかもしれないという期待を維持させようという目論見があったのです。

 でも、さすがに分量が多くなって、作っている本人も把握できないというのは良くないなと思うようになったのです。それで、現在、書き換えを行っているわけであります。
 もう私はこの目論見を放棄しようと決めていますので、ここで手の内を見せておこうという気持ちになった次第であります。
 でも、書き換えていく中で、今度はどこに何が書いてあるかを明確にしていこうと思いながらも、結局は、どこに何が書いてあるか分からないようなサイトになってしまいそうな予感がしています。どうやら、私はこういうものしか作れない人間であるようです。それほど器用な人間でもないなと、自分でもそう思うのです。

 ところで、そのような目論見を有していながらも、私は「どこに何が書いてあるか分からない」という言葉に対しては疑問を覚えています。
 私は古書店が好きなのです。古書店は、一般の書店のように本がきちんと分別されていなかったりします。どこにどういう関係の本が置いてあるのか、すぐにはわからないこともありますし、店主にしか分からないのではないかという古書店さんもあります。
 私の経験では、とくに目的もなく、何となく古書店に入った場合、何処に何があるか分からないという経験をします。雑然としすぎていて、分からないのですね。でも、こういう本を探しているという明確な目的がある場合だと、古書店に入って、ちゃんとその分野の棚を見分けて、そこを探していたりするのです。同じ古書店に入る場合でも、目的が漠然としている時と明確になっている時とでは違いがあるのです。
 インターネットの検索でも同じようなことが起きるのを私は個人的に経験したことがあります。何を調べるかが明確になっている時は、サッとそれに行き着くのです。でも、特に何を調べるというでもなく、ダラダラとネットサーフィンなんかしていると、どこにどんな情報があるかなんてまったく分からないままだったのです。
 私のサイトでも同じなのではないかと私は考えています。閲覧者が目的を明確に意識化していればいるほど、私のサイトでそれを探し出す確立が高くなると思うのです。そして、閲覧時間や滞在時間が長い人の場合、それを探し出したか、あるいは探し出せそうな期待を持っているということが予測されるのです。私のサイトは、実は、この人たちをターゲットにしてきたのでした。
 従って、どこに何が書いてあるか分からないと言う閲覧者のことなど、初めから私の視野に入っていなかったのです。そんなことを言う人のためにこのサイトを作っているのではないからです。

(文責:寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)